建設業法は何のための法律なのか?

投稿者: | 2025年3月14日

建設業法は、建設業許可の根拠法ですが、建設業業界の発展や一戸建てやマンション、ビルなどを利用する人たちが安心して過ごせるようにするために重要な役割を担っています。

この記事では、建設業法の目的と意義について解説します。

建設業法とは

建設業法は、建設業許可の要件や手続の方法について規定している法律です。

建設業許可の申請をする方は、都道府県の窓口やホームページで「建設業許可の手引」をもらい、この手引に基づいて、必要な書類を作成したり、集めて、申請手続きを進めると思います。

この「建設業許可の手引」の根拠法となっているのが、建設業法です。

建設業法の目的は?

では、建設業法の目的は何でしょう?

建設業許可の申請をする方は、喜んでやっている方は少ないと思います。

建設業許可を取らないと、大きな仕事ができなかったり、元請けの会社から取引に応じてもらえなかったりするので、仕方なく、建設業許可の申請をしているという方も多いと思います。

建築関係の資格や経験がある人に自由にやらせればいいじゃないか。

なんで、建設業許可なんて必要なんだ?

役所が仕事しているように見せるためか?

小難しい書類を書かされたり、膨大な書類を集めるために奔走させられるとそんなことを考えてしまうかもしれません。

建設業法の目的は、建設業法の第一条に規定されています。

建設業法の第一条を紐解こう

建設業法の第一条には次のように書かれています。

建設業法
(目的)
第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

この条文の意味を一つ一つ確認しましょう。

「建設業を営む者の資質の向上」とは

建設業は、他の産業と比べると、昔ながらの気質が残りがちです。

もちろん、伝統として残すべき、良い面もあります。

一方で、昭和の常識が令和の今では受け入れられなくなっているように、建設業も時代に合わせて、進化することが求められます。

仕事で使う道具や機械も日々進化しています。技術も飛躍的に向上しています。こうしたハード面の進化に合わせて、ソフト面の進化も必要です。

代表的な取り組みが建設業界における働き方改革です。

建設業法は、一定の要件を満たした業者のみに建設業許可を与えることで、業界内におけるソフト面の進化を促す役割を担っていると言えます。

「建設工事の請負契約の適正化」とは

建設業の仕事を請け負う契約関係を請負契約と言います。

請負契約自体は問題のある契約ではありませんが、建設業界では、元請けと下請けの関係が生じやすい傾向があります。

発注者から仕事を請け負った建設会社が自社内ですべての工事を完結できることは少なく、専門工事は、下請けの工事業者に依頼することが多いです。

その下請けからさらに、孫請けの業者がいるというように、重層的下請構造が生じやすくなっています。

そして、下請けや孫請けと、下に行くにつれて、それぞれの業者が得られる利益が減ってしまい、末端の業者は、儲けが殆ど出ずに、厳しい経営状況で仕事をしていることも少なくありません。

このような状態を生じないように規制を設けることも建設業法の狙いです。

「建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護する」とは

現場で働く職人たちが疲弊していたり、十分な利益が得られない状態では、仕事の質も低下し、結果として、建設工事の適正な施工を確保することが難しくなります。

手抜き工事などがなされては、発注者や、実際に建物を利用する人が大きな損害を被ってしまいます。

こうした事態を防ぐためにも、職人たちが最高のパフォーマンスで働けるようにし、さらに、十分な利益が得られる状態を目指すわけです。

「建設業の健全な発達を促進し」とは

現場で働く職人たちの労働環境の改善や下請け企業の経営状態を健全にすることは、建設業全体の発展にとって、重要なことです。

建設業法は、そのような状態を目指すために、すべての建設業者に対して、協力を求めているということができます。

「公共の福祉の増進に寄与する」とは

建物は、人間の生活の必要な「衣食住」の一端を担う重要なものです。

近年では、災害も多発しており、人々の命を守るためにも、災害に強い建物が求められています。

また、地球温暖化防止などの環境問題への対応のためにもZEH(net Zero Energy House ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)等の省エネ住宅のニーズが高まっています。

このように、今や、建物は単に住めればよいだけのものではなく、様々な機能が求められるようになっています。

こうした建物を提供する建設業界は、高い公共性を有する仕事ということができますし、人々の生活を守るためにも、業界全体で資質を向上させていくことが求められるわけです。

まとめ

建設業許可を申請したり、更新する立場だと、なんでこんな面倒なことをしなければいけないのかと嫌になってしまうかもしれません。

しかし、建設業許可申請の手続きは、建設業界全体を良くするために、重要な意味があるということに思いを巡らしてみましょう。

建設業界を少しでも良くするために、協力しているのだと考えて、建設業許可の申請や更新をしてください。