建設業許可が必要な建設工事の具体例を解説

投稿者: | 2025年3月18日

建設業許可は、「建設工事の完成を請け負う営業=建設業」を営む場合に原則として必要になる許可です。この記事では、建設工事の具体例について紹介します。

建設業許可とは

建設業許可とは、国土交通大臣又は都道府県知事から建設業を営む際に必要になる許可のことです。

建設業許可は、「建設工事の完成を請け負う営業=建設業」を営む場合は、原則として必要になります。

例外として、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする場合は、建設業許可が必要ないとされています。

具体的には、次の営業のみ請け負う場合のことです。

  • 工事一件の請負代金の額が500万円未満
  • 建築一式工事の場合は工事一件の請負代金の額が1,500万円未満又は延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事

建設業許可が必要な建設業とは?

建設業許可が必要なのは、建設業を営む場合です。

建設業とは「建設工事の完成を請け負う営業」のことです。

では、建設工事とは何でしょう?

この点も、建設業法の第二条1項に規定が設けられており、「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。とされています。

具体的な工事は次のとおりです。

  1. 土木一式工事
  2. 建築一式工事
  3. 大工工事
  4. 左官工事
  5. とび・土工・コンクリート工事
  6. 石工事
  7. 屋根工事
  8. 電気工事
  9. 管工事
  10. タイル・れんが・ブロツク工事
  11. 鋼構造物工事
  12. 鉄筋工事
  13. 舗装工事
  14. しゆんせつ工事
  15. 板金工事
  16. ガラス工事
  17. 塗装工事
  18. 防水工事
  19. 内装仕上工事
  20. 機械器具設置工事
  21. 熱絶縁工事
  22. 電気通信工事
  23. 造園工事
  24. さく井工事
  25. 建具工事
  26. 水道施設工事
  27. 消防施設工事
  28. 清掃施設工事
  29. 解体工事

こうした土木建築に関する工事を「完成させる」場合のみ、建設工事と言います。

建設現場で働く業者すべてが建設業許可が必要となるわけではない

建設業許可は、建設現場で働くすべての業種に必要になるわけではありません。

建設現場に出入りしても、上記で紹介した土木建築に関する工事を「完成させる」仕事を請け負う業者でなければ、建設業許可は必要ありません。

例えば、建設現場に建材や資材を運ぶだけの運送業者は、土木建築に関する工事を「完成させる」仕事をするわけではありませんので、建設業許可は必要ありません。

工場で、建材や資材を作るだけの業者もやはり、建物を完成させているわけではないため、建設業許可は不要です。

また、工事が終わった後で、ハウスクリーニングや美装工事を行う業者も、土木建築に関する工事を「完成させる」仕事をしているわけではないため、建設業許可は不要です。

工事現場で交通整理を行う警備業者も警備業の認定は必要ですが、建設業許可は必要ありません。

建設業許可が必要な工事の具体例

建設業許可が必要な工事の具体例を一つ一つ紹介します。

土木一式工事

橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道、区画整理、道路・団地等造成、公道下の下水道、農業・かんがい水道工事

建築一式工事

建築確認を必要とする新築及び増改築

大工工事

大工工事、型枠工事、造作工事

左官工事

左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事

とび・土工・コンクリート工事

とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事

くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事

土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事

コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事

地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

石工事

石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事

屋根工事

屋根ふき工事、屋根一体型の太陽光パネル設置工事

電気工事

発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事(避雷針工事)、太陽光発電設備の設置工事

管工事

冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事、(配水小管)

タイル・れんが・ブロツク工事

コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事

鋼構造物工事

鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事

鉄筋工事

鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事

舗装工事

アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事

しゆんせつ工事

河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事

板金工事

板金加工取付け工事、建築板金工事

ガラス工事

ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事

塗装工事

塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事

防水工事

アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事

内装仕上工事

インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事

機械器具設置工事

プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事(ガスタービンなど)、集塵機器設置工事、トンネル・地下道等の給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事

熱絶縁工事

冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事

電気通信工事

電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事

造園工事

植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事

さく井工事

さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事

建具工事

金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事

水道施設工事

取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事

消防施設工事

屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事

清掃施設工事

ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事

解体工事

工作物解体工事、建物を壊して更地にする工事

まとめ

この記事では建設業許可が必要になる工事の具体例を紹介しました。

建設業許可は、「建設工事の完成を請け負う営業=建設業」を営む場合に必要になる許可です。

建設業の現場に出入りする業者の全員が必要になるわけではありません。

自分の仕事は、建設業許可が必要なのかどうか、判断に迷った場合は、建設業許可に詳しい行政書士に相談しましょう。