建設業許可を取得しなければならない場合とは?

投稿者: | 2025年3月26日

建設業許可は、建設業を営もうとする場合に都道府県知事又は国土交通大臣に対して申請したうえで取得しなければなりません。

例外として、工事一件の請負代金の額が500万円未満の軽微な建設工事のみを請け負う場合は、建設業許可を得なくても建設業を営むことが認められています。

ただ、建設業許可が必要ない場合でも、登録や指定を受けなければならないことがあるので注意しましょう。

この記事では、建設業許可が必要なケースについて解説します。

建設業許可とは?

建設業の許可は、「建設業を営もうとする者」が国土交通大臣または都道府県知事から得なければならない許可です。

建設業とは、建設工事の完成を請け負う営業のことです。

建設工事の具体例は下記で紹介しています。

下請けでも建設業許可が必要?

建設業を営む方は、発注者(注文者)から直接仕事を請け負うだけでなく、元請けの業者から下請けの仕事を請け負うケースもあります。

下請けの立場なら、建設業許可を得ていなくてもよいのではないかと思われるかもしれませんが、下請けでも建設工事の完成を請け負うのであれば、原則として建設業許可が必要です。

個人事業主なら建設業許可は不要?

建設業を営む方は、株式会社、合同会社、有限会社といった法人の形態で営業する方が多いですが、個人で営む方も少なくありません。

会社に属せず、一人親方として働いている方もいらっしゃると思います。

こうした個人事業主でも、建設工事の完成を請け負うのであれば、原則として建設業許可が必要です。

建設業許可が必要ない場合とは?

建設業を営もうとする者でも、建設業許可を得なくていいケースもあります。

建設業法3条1項柱書に「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」は建設業許可を得なくてもよい旨が定められています。

具体的には次のような建設工事だけを請け負う場合です。

  • 工事一件の請負代金の額が500万円未満
  • 建築一式工事の場合は工事一件の請負代金の額が1,500万円未満又は延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事

一般的な一戸建て住宅の1棟のみを完成させる工事を請け負うという規模であれば、殆どの場合、軽微な建設工事の範囲に収まります。

宅地を開発したうえで、10棟といったまとまった規模の一戸建て住宅の建設工事を請け負うケースでは、1棟ごとの建設工事が軽微な建設工事の範囲に収まっていたとしても、請負代金は10棟で合算するため、軽微な建設工事の範囲に収まらない可能性があります。

マンションの建設工事で専門工事の下請けの仕事をするケースでは、一つの専有部分の建設工事なら、軽微な建設工事の範囲に収まるかもしれません。

しかし、すべての専有部分や共有部分の建設工事もまとめて請け負う場合は、軽微な建設工事の範囲に収まらない可能性があります。

このように、大きな仕事をまとめて請け負うような場合は、建設業許可が必要になる可能性が高いです。

こうした仕事を請け負う可能性がある場合は、ビジネスチャンスを逃さないように、建設業許可を取得しておくことが大切です。

建設業許可が必要ない場合でも登録が必要な業種もある

土木工事業や建築工事業以外の専門工事業の場合は、工事一件の請負代金の額が500万円未満にとどまるため、建設業許可を取得する必要性がないケースも多いです。

しかし、この場合でも、建設業法とは別に事業開始にあたって登録を受けなければならないケースもあります。

具体的には、電気工事、解体工事については、都道府県知事の登録が必要になります。消防施設工事も自治体の消防本部への届出が必要です。

また、管工事業者についても、各自治体の水道事業者から指定給水装置工事事業者の指定を受けないと宅地内の水道管の配管工事ができないので注意が必要です。

電気工事の登録とは

一般用電気工事又は、一般用及び自家用電気工事に係る電気工事を営む場合は、電気工事業の業務の適正化に関する法律3条1項により、都道府県知事の登録を受けることになっています。

この登録の手続きを「登録電気工事業者」の登録申請と言います。

登録電気工事業者の登録は、個人であるか法人であるかを問わず必要なものです。

なお、電気工事業の建設業許可を取得している場合でも、電気工事業の業務の適正化に関する法律34条4項の規定により、経済産業大臣又は都道府県知事に「電気工事業開始届」を行う必要があります。

消防施設工事の届出とは

消防施設工事を行うためには、消防法17条の5に基づき、消防設備士免状が必要です。

消防設備士免状は甲種と乙種に分かれていますが、甲種は工事整備対象設備等の工事と整備及び点検、乙種は整備及び点検のみを行うことができます。

消防施設工事業を営む場合は、建設業許可が必要かどうかに関わらず、消防設備士免状が必要なので注意しましょう。

また、地方自治体の条例により、各自治体の消防本部に対して、「消防設備業届出書」の提出が必要とされていることが多いです。

具体的には、「消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、点検、整備又は販売を業として営もうとする場合」に概ね10日前までに提出が義務付けられています。

こちらも、消防施設工事の建設業許可を取得するか否かに関わらず、届出が必要になります。

解体工事の登録とは

解体工事業を営む場合は、解体工事業の建設業許可を取得するか、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)21条に基づく登録を受けなければなりません。

登録の場合は、解体現場ごとに都道府県知事の登録を受けておく必要があります。

例えば、東京都の解体工事業者が千葉県の現場で解体工事を行う場合は、千葉県で解体工事業登録を受けておく必要があります。

都道府県知事の解体工事業登録で請け負うことができる解体工事は、軽微な工事に該当する解体工事のみです。

軽微な工事を超える工事を請け負う場合は、建設業法に基づく解体工事業の建設業許可が必要です。

なお、「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の建設業許可を受けている場合は、都道府県知事の解体工事業登録を受ける必要はありません。

指定給水装置工事事業者の指定とは

住宅に給水管を引く際は、水道事業者の所有する配水管に孔をあける必要があります。

この工事を誰でも行えるとすると、水道事業者が配水管の管理をすることができません。

そこで、各水道事業者は条例等に基づき給水装置工事の施工業者を指定できることになっています。

その制度を指定給水装置工事事業者の指定の制度と言います。

指定給水装置工事事業者の指定を受けるためには、事業所に

  • 給水装置工事主任技術者
  • 給水装置工事ができる機械器具

を配置したうえで、一定の要件を満たすことが求められます。

要件を満たしていれば各自治体の水道事業者に対して、指定給水装置工事事業者指定申請を行うことができ、指定されれば、給水装置工事を行うことができるようになります。

指定給水装置工事事業者の指定は、管工事業の建設業許可を取得しているかどうかに関わらず必要なので注意しましょう。

まとめ

建設業許可は建設業を営もうとする者であれば、下請けでも個人事業者でも原則として必要です。

例外として、軽微な建設工事のみを請け負う場合は、建設業許可は必要ありません。

また、専門工事業の場合は、建設業許可とは別に登録や指定を受ける必要があるので注意しましょう。

自分の仕事は、建設業許可が必要なのかどうか、判断に迷った場合は、建設業許可に詳しい行政書士に相談しましょう。