軽微な工事のみを請け負う場合も建設業法は適用される

投稿者: | 2025年3月15日

建設業法は、建設業許可を受けた建設業者のみに適用される法律だと勘違いしている方もいるかもしれません。しかし、建設業を営んでいれば、下請けでも、建設業許可を取得していなくても、建設業法の適用対象となります。

軽微な工事のみを請け負う建設業者は、建設業許可は必要ありませんが、建設業法の適用対象になることの意味について解説します。

建設業法の適用対象

建設業法は、建設業を営む法人(会社)や個人(個人事業者)に対して適用される法律です。

では、建設業とは何でしょうか?

この点については、建設業法に次のように定義されています。

建設業法
(定義)
第二条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。

「建設工事の完成を請け負う営業」のことを建設業と言います。

そして、建設業を営んでいれば、その立場が、元請か、下請かに関係なく、建設業法が適用されます。

軽微な工事のみを請け負う場合も建設業法が適用される?

上記の条文で確認した通り、「建設工事の完成を請け負う営業」と言える建設業を営んでいる立場であれば、建設業法の適用対象となります。

その建設業者の請負う工事の価格がいくらであるかは、考慮されません。

例えば、内窓を一箇所に設置するだけの工事の場合は、工事費用は10万円程度しかかからないかもしれませんが、それだけの工事でも建設業法の適用対象になります。

軽微な工事とは何か?

軽微な工事とは、建設業法第三条に規定されている建設業の許可を得ずに行うことができる工事のことです。

政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、建設業の許可を受けなくても良いとされています。

具体的には次のような工事のことです。

  • 工事一件の請負代金の額が500万円未満
  • 建築一式工事の場合は工事一件の請負代金の額が1,500万円未満又は延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事

これらの建設工事を請け負う限りにおいては、建設業の許可を受ける必要はありません。

しかし、軽微な工事のみを請け負う建設業者でも、建設業法の適用対象になるので、その点は勘違いしないようにしましょう。

具体的に建設業法のどの規定が適用されるのか?

軽微な工事のみを請け負う建設業者でも、建設業法上の何らかの違反を行っていれば、都道府県知事から指示処分や営業停止処分を受けることもあります。

具体的には、建設業法第二十八条2項、3項に規定が設けられていますが、建設業者が次のような行為を行っている場合は、都道府県知事が指示処分や営業停止処分を行うことができると定められています。

  • 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。
  • 請負契約に関し著しく不誠実な行為をしたとき。

この指示処分や営業停止処分の対象となるのは、「都道府県知事の管轄する区域内で建設工事を施工している建設業の許可を受けないで建設業を営む者」です。

例えば、リフォーム詐欺等を行っている悪徳業者が通報されて、都道府県知事から営業停止処分を受けるというニュースをよく耳にすると思います。

こうした悪徳業者は、建設業許可を取得していないことも多いです。

建設業許可を取得していないリフォーム業者に営業停止処分を出せるって一体どういうことだろうか? そもそも、取り上げる建設業許可がないじゃないか? と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

でも、営業停止処分は、建設業許可を取得している建設業者だけが対象となるわけではないということです。

まとめ

建設業法は「建設業=建設工事の完成を請け負う営業」を営んでいる人であれば誰にでも適用されます。

軽微な工事のみを請け負うため、建設業許可を受けていない建設業者も適用の対象になります。

とりわけ、リフォーム詐欺などの消費者トラブルを起こしている業者であれば、都道府県知事による指示処分や営業停止処分の対象になります。

建設業を営む場合は、どのような立場であっても、誠実な契約と工事を心がけたいものです。