
建設業法の勉強を始める際、まず押さえておきたいのが第1条(目的)です。
試験では、単に目的を丸暗記するだけでなく「何が『目的』で、何がそれを達成するための『手段』なのか」や、各制度(一括下請負の禁止、指導監督、経営事項審査など)が第1条の目的とどのように結びついているかが頻出ポイントとなります。
この記事では、建設業法第1条に関する問題をもとに、選択肢ア〜オの正誤判定のポイントをわかりやすく解説します。「目的と手段の関係性が整理できていない」「ひっかけパターンを知りたい」という方は、ぜひ解き方のチェックに活用してください。
この記事でわかること
- 建設業法第1条が掲げる「2つの目的」と「手段」の整理
- 「発注者保護」と「健全な発達」の関係性
- 「請負契約の適正化」や「指導監督制度」の正しい理解
建設業法第1条問題
建設業法第1条(目的)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア. 建設業法は、建設業を営む者の資質の向上を目的達成の手段の一つとして位置づけており、その具体的な方策として、建設業の許可制や施工技術の確保・向上を図るための技術検定制度などを定めている。
イ. 建設業法は、発注者の保護及び建設業の健全な発達の促進という二つの目的について、一方が他方に優越する関係ではなく、相互に密接な依存関係に立つものと捉え、ともに公共の福祉の増進に寄与することを目的としている。
ウ. 建設業法における請負契約の適正化は、単に契約当事者間の自由な合意を尊重することを意味し、元請負人と下請負人の関係において特に下請負人の保護を図るための制度(一括下請負の禁止等)は、本条の定める「請負契約の適正化」の範囲外に位置づけられる。
エ. 建設業法における指導監督制度は、不良工事を行う不適格業者を市場から排除し発注者保護を達成することのみを目的とするため、建設業者や建設業者団体に対する積極的な指導育成や健全な発達の促進は、指導監督の目的に含まれない。
オ. 建設工事紛争審査会の設置や建設業者の経営事項審査制度は、建設業法の目的とは直接関係のない独立した行政手続制度であり、第1条の定める「適正な施工の確保」や「健全な発達の促進」等の目的を達成するための手段としては位置づけられていない。
【選択肢】
- ア・イ
- ア・ウ
- イ・エ
- ウ・オ
- エ・オ
【解説】
ア. 正しい
建設業法第1条は、「建設業を営む者の資質の向上」を、法の主要な目的(適正な施工の確保・発注者保護、健全な発達の促進)を達成するための「手段」の一つとして掲げています。その具体的な方策として、過剰競合や不適格業者の参入を防止する「建設業の許可制」や、施工技術の確保・向上を図る「技術検定制度」などが規定されています。したがって、本記述は正しいです。
イ. 正しい
建設業法第1条が掲げる目的は、①手抜き・粗雑工事等の防止による「適正な施工の確保および発注者の保護」と、②国民経済・社会生活基盤の整備を担う重要産業としての「建設業の健全な発達の促進」の二つです。これらは主従関係や対立関係にあるのではなく、相互に密接な依存関係に立つものであり、いずれも「公共の福祉の増進」に寄与することを理念としています。したがって、本記述は正しいです。
ウ. 誤り
建設業法第1条の定める目的達成手段の二つ目である「建設工事の請負契約の適正化」は、発注者と請負人、元請負人と下請負人の間の契約関係を公正かつ平等にすることにより、請負人(特に立場が弱くなりやすい下請負人)の保護を図ることを目的としています。具体的な制度として、請負契約の原則の明示、契約書記載事項の法定とともに「一括下請負の禁止制度」などが含まれており、これらは「請負契約の適正化」の具体的な内容を構成します。したがって、本記述は誤りです。
エ. 誤り
建設業法に基づく指導監督の制度は、単に不適格業者に対して取締りや指導監督を行う(規制・排除する)ことにとどまらず、建設業者や建設業者団体を「積極的な指導育成」の対象とし、建設業の健全な発達を促進することを目指して設計されています。行政規制のみならず産業の指導育成を目的として内包している点が特徴です。したがって、本記述は誤りです。
オ. 誤り
建設工事紛争審査会の設置、建設業者の経営事項審査制度、並びに建設業者・建設業者団体に対する指導監督の制度は、いずれも建設業法第1条に規定された目的(適正な施工の確保、発注者の保護、建設業の健全な発達促進等)を達成するための具体的な手段・補完的制度として法の中に位置づけられています。独立して無関係に存在する制度ではありません。したがって、本記述は誤りです。
以上より、正しい記述は ア・イ であり、正解は 1 となります。
【正解】1
建設業法
(目的)
第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
まとめ|建設業法第1条攻略のポイント
建設業法第1条(目的)に関する問題では、以下の重要ポイントを頭整理しておきましょう。
- 目的と手段の区別
目的:「適正な施工の確保・発注者の保護」+「建設業の健全な発達の促進」⇒ ともに「公共の福祉の増進」に寄与(両者は相互依存の関係)。
手段:「建設業を営む者の資質の向上」「請負契約の適正化」など。 - 具体的な制度の位置づけ
「一括下請負の禁止」などは請負契約の適正化(下請負人保護)のための制度。
指導監督は、不適格業者の排除だけでなく「積極的な指導育成」も含まれる。
「経営事項審査」や「建設工事紛争審査会」も、第1条の目的達成のための具体的な手段・補完制度。
第1条は条文の構造(目的と手段の関係)を正しく捉えておけば、自信を持って得点源にできる分野です。何度も繰り返し問題を解き、ひっかけパターンに惑わされない知識を身につけましょう!

