
法学部の学生にとって六法は必需品ですが、いざ六法を買おうとしても、書店には様々なタイプの六法が売られているので、どれを選んだらよいのか迷うこともあると思います。
この記事では、六法の種類を紹介するとともに、法学部の学生が選ぶべき六法はどれなのかを解説します。
六法とは
六法とは法律の条文を収録した法令集のことです。
「民法90条になんて書いてあったかな?」と思ったときに、六法をめくって条文を調べるという形で使います。
ちなみに、六法は、
- 憲法
- 民法
- 商法
- 民事訴訟法
- 刑法
- 刑事訴訟法
の6つの法律を意味することもあります。
六法というと、この6つの法律のみ掲載されているというイメージがあるかもしれませんが、実際には、これ以外にも様々な法令が収録されています。
そのため、六法はどれも辞書と同じ厚みがあります。
六法の種類
六法には、様々なタイプがあります。大まかに分けると次のようになります。
- 六法全書
- 携帯可能な六法(ハンディ六法)
- 判例付き六法
- 資格試験専門六法
- 業界特化型六法
ひとつひとつ見ていきましょう。
六法全書
六法全書とは、有斐閣という法律専門の出版社が毎年発行している法令集です。
このブログを書いている時点での最新版は、「六法全書 令和6年版」で、 収録法令集は808件、6574ページの大型六法です。
六法と言ったら、六法全書を思い浮かべる方が多いと思います。
法学部に入ったら、この六法全書を読まなければならないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、その必要は全くありません。
法学部の学生が六法全書にしか載っていない法律を調べる機会はめったにないですし、必要な場合でも図書館で調べればよいだけですから、学生が自ら購入する必要はありません。
ちなみに、今では、e-Gov法令検索が提供されているため、条文しか載っていない六法全書の使い道はほとんどないです。
実務家でも、六法全書は、事務所の机に飾っておくインテリアにすぎなくなっている方が多いのではないでしょうか。
六法全書にすべての法令が収録されているわけではない
六法全書という名前からして、すべての法令が収録されていると思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、六法全書にすべての法律が掲載されているわけではありません。
実務などで使用頻度の高い法律に絞って掲載しているに過ぎません。
六法全書にも載っていない法律もあるため、自分の研究や勉強、仕事で必要な法令が収録されているかどうか確認してから購入しないと無駄な出費になってしまうので注意しましょう。
ちなみに、すべての法令が収録されている書籍も存在します。
「現行日本法規」「現行法規総覧」という全集タイプの書籍です。六法全書ほどの分厚さで100巻以上もあります。
現行日本法規は、法務省が責任をもって編集している法令集です。
現行法規総覧は、衆議院法制局、参議院法制局が編集しています。
法学部がある大学なら、図書館にあるはずなので、興味があったらめくって見るとよいでしょう。
携帯可能な六法(ハンディ六法)
六法全書よりもコンパクトな法令集です。一般的な国語辞典と同じくらいの厚さなので、カバンに入れて持ち運ぶことも可能なサイズです。
法学部の学生が使う六法としてはこちらが標準的なものになります。
現在販売されているのは、
の2冊です。
ポケット六法は、有斐閣が発行しているものです。
令和7年版だと収録法令集は199件、B6判で2204ページの厚さです。
有斐閣という法律専門の出版社から出されているためにその権威性に惹かれる方も多いかもしれません。
デイリー六法は、三省堂が発行しているものです。
令和7年版だと収録法令集は248件、B6判で2160ページの厚さです。
初学者の場合は、括弧書きが多い条文が読みづらいこともあると思います。このような場合は、括弧書きの部分を飛ばして読む方法が推奨されますが、デイリー六法は、括弧書きを網掛けした仕様となっているため、読みやすいのが特徴です。
収録数からして、デイリー六法に軍配が上がるように見えるかもしれませんが、法学部の授業用としては、どちらを選んでも問題ありません。
手にとって見て、直感で気に入った方を選びましょう。
判例付き六法
判例付き六法とは、条文ごとに関係する判例の概要が掲載されている法令集のことです。つまり、法令と判例がセットになった六法のことを指します。
法律の勉強では、条文を読んでその意味を理解するだけでなく、その条文に関連する判例にも目を通さなければなりません。
基本的な判例は基本書にも解説がありますが、より多くの判例を網羅し、最新の判例も掲載しているのが判例付き六法です。
基本書をベースにしつつ足りない部分は判例付き六法を読み込んで穴を埋めていく。このような形で勉強すれば、大抵の資格試験は合格できます。
司法試験を初めとする難関な資格試験の合格を目指す法学部の学生なら、普段の授業でも、判例付き六法を使い、条文に目を通したついでに、判例を読み込むことで知識をインプットしましょう。
学習用の判例付き六法としては、「有斐閣判例六法」が最適です。
その他、
などもありますが、こちらは、収録件数が多く、実務家向けの編集になっているため、法学部の学生が手に取る必要はありません。
資格試験専門六法
法律系の資格試験で問われる法令や判例を収録した六法です。
法律系の資格試験は、司法試験の他、行政書士試験、司法書士試験、弁理士試験などいくつかありますが、それぞれの資格試験で問われる法令は異なります。
過去問の出題傾向もそれぞれの資格試験で異なるため、条文の着眼点や覚えるべき判例も異なります。
そこで、それぞれの資格試験に合わせて編集したのが資格試験専門六法です。
資格試験の予備校が発行していることが多いです。
業界特化型六法
業界特化型六法とはそれぞれの業界で必要な法律をまとめたものです。
すでに紹介したとおり、六法全書でもすべての法律を網羅しているわけではありません。そのため、業界特有の法律をまとめた法令集もあるわけです。
代表的なのは次のような六法です。
登記六法:登記官、司法書士、土地家屋調査士などの不動産登記、商業登記に関わる人たち向けの専門六法です。
建築関係法令集:建築士などの建築関係に関わる人たちの向けの専門六法です。
教育六法:教育関係法令をまとめたもので、学校関係者向けの専門六法です。
自治六法:地方自治法や行政関係の法令をまとめたもので地方自治体の公務員、行政書士向けの専門六法です。
こうした専門六法は、法学部の授業で必要になることはほとんどないですし、調べる必要があるときも、大学の図書館で調べられると思います。
法学部で必要な六法
様々な六法を紹介しましたが、法学部で必要な六法は、上記のうち、「携帯可能な六法(ハンディ六法)」が基本です。
しっかり勉強したい人はこれとは別に、「判例付き六法」も購入するとよいでしょう。
法学部の期末試験で許可されている六法
法学部の期末試験では、論文を書かされることがあります。その際、持ち込めるのは六法だけという科目もあります。
この場合、持ち込みできる六法は、「判例のついていない六法」と指定されるのが一般的です。
つまり、上記のうち、「携帯可能な六法(ハンディ六法)」が基本ということになります。
「判例付き六法」は、しっかり勉強したい方が普段の授業で使うのには大変便利ですが、期末試験で持ち込みできない可能性があることに注意しましょう。
六法は毎年買い替えなければならないのか?
六法は令和6年度版、令和7年度版という形で毎年新しいものが出されます。
法律は毎年、国会で改正されますし、裁判所が新しい判例を次々に出すため、情報を更新する必要があるからです。
研究者や実務家なら、判例付き六法を毎年買い替えています。大学の教員もそうしている人が大半です。
そのため学生にも、六法は毎年買い替えるものと言う方もいらっしゃるでしょう。
ただ、法学部で勉強する4年の間だけでしたら、毎年買い替える必要はありません。
そもそも、法学部の授業では基本的なことしかやらないので、改正された項目まで目を通す必要はないからです。
改正法の条文が必要な場合でも、e-Gov法令検索で調べて、改正された部分だけをプリントして使うという形でも対処可能です。
六法は古本屋で買っても大丈夫か?
六法は古本屋で安く売られていることもあります。教材費を節約したい方の中には、古本屋で六法を買うことを検討している方もいるかもしれません。
古本屋で買った六法が役立つかどうかは、法改正がどこまで反映されているのかにより異なります。
例えば、憲法は今のところ、改正されていませんから、古い六法でも問題ありません。一方、民法は、令和2年(2020年)を境に大きく改正されていますから、それ以前の年度の六法だと役立ちません。
古い六法を買っても改正法が反映されておらず、役に立たないこともあるので、できれば最新版の六法を購入した方がいいです。
まとめ
六法の種類と法学部の学生が選ぶべきなのは、「携帯可能な六法(ハンディ六法)」と「判例付き六法」であることを紹介しました。
大学に入るまで、六法の実物を目にしたことがない方も少なくないと思います。
大切なのは、自分が使いやすいかどうかなので、様々な評判は参考にしつつも、最終的には自分が気に入ったものを選びましょう。

