司法試験予備試験とは? 裁判官、検察官、弁護士になる最短ルート?

司法試験予備試験は司法試験の受験資格を得るための国家試験です。

年齢、学歴、学部に関係なく、誰でも受験できますし、受験回数にも制限はありません。

そのため、法科大学院(ロースクール)に通うお金や時間がない方にとっては、司法試験の受験資格を得るための最短ルートと言われています。

果たしてその通りなのでしょうか?

司法試験予備試験の難易度や試験科目について解説します。

司法試験予備試験とは

司法試験予備試験は、法科大学院(ロースクール)を修了していない人が司法試験の受験資格を得るための国家試験です。

法科大学院(ロースクール)を修了するには、

  • 既修者コースで150万円から250万円前後
  • 未修者コースだと200万円から300万円前後

このくらいの学費がかかります。

大学とは別にこれだけの学費がかかるので、通うことが難しい方も少なくありません。

そうした方でも、司法試験を受けられる道を開くために、司法試験予備試験が設けられたというのが建前です。

司法試験予備試験を受けているのはどういう人か?

司法試験予備試験を受験している層は幅広いです。

令和5年司法試験予備試験のデータによると出願者の多い職種は次のようになっています。

大学生4,546名
会社員4,045名
無職3,406名
公務員1,743名
自営業910名
法科大学院生638名

大学生は法学部の学生が多いと思われますが、会社員や公務員の受験生もかなりいることから、社会人受験生も多い事が分かります。

無職もかなり多いですが、こちらはいわゆる司法浪人が受験していると考えられます。

そして、注目すべきことは、法科大学院生の受験生もいる点です。

法科大学院生は法科大学院を修了すれば、司法試験の受験資格を得られるわけですが、一年でも二年でも早く合格したいという心情から、受験している方もいらっしゃるものと考えられます。

司法試験予備試験に合格するのはどういう人か?

司法試験予備試験には様々な立場の人が合格しています。

令和5年司法試験予備試験のデータによると合格者の多い職種は次のようになっています。

大学生286名
無職69名
会社員50名
公務員30名
法科大学院生21名
自営業9名

突出しているのは、大学生でこちらは法学部の学生が多いと考えられます。また、無職は司法浪人が大半を占めていると見てよいでしょう。

また、社会人でもそれなりに合格者がいることから、法科大学院(ロースクール)に通えない方に司法試験への道を開くという予備試験の役割は機能していると言えます。

ちなみに、令和5年の結果は次のようになっています。

出願者16,704名
受験者13,372名
最終合格者479名
合格率3.58%

司法試験予備試験の位置づけ

司法試験予備試験は、法学部在学中の大学生が法科大学院(ロースクール)に行かずに、司法試験の受験資格を得るための試験となっているのが現状です。

そのため、予備試験に合格した人は、「予備試験組(予備試験通過組)」と言われ、法科大学院(ロースクール)を経て司法試験を受ける人よりも優秀との評価を受けやすい傾向があります。

もちろん、法曹(裁判官、検察官、弁護士)として仕事ができるかどうかに関して、予備試験組かロースクール組かで差があるのかどうかは定かではありません。

ただ、現在の法曹界のトップは、ロースクールがない旧司法試験時代に合格した人が占めており、そうした人たちからの評価は、やはり、自分たちと同様に難関な予備試験を突破した人の方が優秀だという考え方になりやすいのかもしれません。

予備試験組(予備試験通過組)の方が司法試験に合格しやすい?

司法試験予備試験を経て司法試験の受験資格を得た人の方が司法試験に合格しやすいです。

法務省では、毎年、司法試験法科大学院等別合格者数を発表していますが、その中に、予備試験組のデータも組み込まれています。

令和5年のデータを見てみましょう。

出願者数受験者数最終合格者数
予備試験合格者358名353名327名
東京大法科大学院340名315名186名
京都大法科大学院287名275名188名
慶應義塾大法科大学院321名310名186名
早稲田大法科大学院401名389名174名

このように難関大学の法科大学院出身者でも、不合格になってしまう方が少なくない中、予備試験合格者は大半が合格しています。

この合格率の高さは驚異的と言ってよいのではないでしょうか。

司法試験予備試験合格=司法試験最終合格?

予備試験組の司法試験合格率の高さから分かるように、予備試験に合格すれば、司法試験に合格したも同然と言っても過言ではありません。

もちろん、不合格となっている人もいるので、油断することはできませんが、予備試験に合格できる実力があれば、司法試験に合格することはそう難しいことではありません。

司法試験予備試験に合格するにはどんな勉強をすればよいのか?

司法試験予備試験に合格するには一言で言えば、「司法試験」の勉強をしなければなりません。

何を言いたいかと言うと、実質的に司法試験予備試験と司法試験の試験内容は同じですし、むしろ、司法試験より科目数が多く勉強が大変です。

司法試験予備試験は、法科大学院(ロースクール)を修了した人と同等の知識があることを示すための試験なので、必然的に司法試験よりも試験科目が多くなります。

司法試験予備試験は短答式試験、論文式試験、口述試験の3回に分けて行われます。

短答式試験に合格した人が論文式試験に進み、論文式試験に合格すれば、口述試験を経て最終合格となります。

短答式試験

短答式試験は法律基本科目と一般教養科目から出題され、マークシートによって解答します。

法律基本科目は憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の7科目です。

一般教養科目は人文科学、社会科学、自然科学、英語から出題され、公務員試験の教養とほとんど同じです。

論文式試験

論文式試験は、法律基本科目、法律実務基礎科目、選択科目の3種類の科目を受験します。

法律基本科目は、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の7科目です。実際には、「憲法・行政法」、「民法・商法・民訴法」、「刑法・刑訴法」という枠組みで実施されます。

法律実務基礎科目は、民事訴訟実務、刑事訴訟実務、法曹倫理の3科目です。法曹倫理は民事訴訟実務、刑事訴訟実務に組み込まれるため実質的には2科目です。

選択科目は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法から1科目選択します。

口述試験

口述試験では、民事と刑事の実務に関する知識が問われます。

本番の司法試験との比較

ちなみに、司法試験の試験内容は論文式試験と短答式試験の2つです。

それぞれの試験科目は次のようになっています。

論文式試験

憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、選択科目の8科目。

短答式試験

民法、憲法、刑法の3科目。

口述試験はありません。

このように司法試験は、司法試験予備試験よりもあっさりした試験科目になっていることから、司法試験予備試験に合格できる実力があれば、本番の司法試験は比較的簡単に合格できるということになります。

もっとも司法試験は、5年以内に合格しなければならないというプレッシャーがありますし、記念受験生はおらず、受験生全員が本気で合格を目指している人たちです。

そのため、予備試験を突破した人でも、油断していたら5年以内に合格できないという事態もありうるため注意しましょう。

まとめ

司法試験予備試験は、法科大学院(ロースクール)に通わずに、司法試験の受験資格を得られるルートです。

社会人の方が働きながら受験することもできますし、学歴や学部に関係なく、誰でも受験できる点も魅力と言えるでしょう。

ただ、試験科目は司法試験よりも多く、大変な勉強が必要になることから、最短ルートと言えるかどうかは微妙です。

それでも、予備試験を突破すれば、本番の司法試験は比較的容易に合格できるため、挑戦し続ける価値はあります。

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