通信販売はクーリング・オフ不可でも1年以内の取り消しは可能?

通信販売はクーリング・オフできませんし、返品不可と明記されていた場合は、返金してもらえないのが原則ですが、例外的に取り消しできることがあります。詐欺的な「定期購入」商法など、申し込み時の最終確認画面が購入者を誤認させるような表示になっている場合です。

通信販売の取消制度について解説します。

通信販売はクーリング・オフできない

通信販売では、クーリング・オフ制度はなく返品ができるだけです。

販売業者側で返品に関して特約を設けていない場合は、商品の引き渡しを受けてから8日間以内であれば、返品することができます。

一方、返品不可と明記していた場合は、返品することができません。

返品不可の場合は、商品が気に入らなかったとしても、お金を返してもらえないため、泣き寝入りするしかないということになります。

ただ、返品できない場合でも、契約の取り消しができる場合もあります。

通信販売の契約と取消の関係

民法では「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(申込み)に対して相手方が承諾をしたときに成立する(民法522条)」という原則が示されています。

通信販売における契約も、

  • 購入者の「買います。ポチッ」という申し込みの意思表示
  • 販売者の「ご注文ありがとうございます。在庫があるので売ります」という承諾の意思表示

この2つが合致して成立します。

ショッピングモールによっては購入者がポチッと購入ボタンを押しても、販売者側が受け付けるまでは、キャンセルできることもあります。

こうしたキャンセルは、「申し込みの意思表示」を取り消している(撤回している)とみることができます。

「申し込みの意思表示」を取り消されれば、販売者側で承諾のしようがないため、売買契約は成立しません。

販売者の承諾により、契約が成立してしまうため、これ以降は、契約を取り消すことはできないのが原則です。商品が手元に届いてしまえばなおさらです。

ところが特定商取引法では、一定の場合は、契約が成立して商品が手元に届いたとしても、契約の取り消しができるとしています。

通信販売で取り消しができるケースとは?

通信販売で契約が成立した後、つまり、商品が手元に届いた後でも契約を取り消すことができるのは、「申し込み時の最終確認画面が購入者を誤認させるような表示」になっている場合です。

実は、ネットショッピングの「最終確認画面」に表示すべき事柄は、特定商取引法第12条の6により決められています。

具体的には次のような事項です。

  • 商品の分量
  • 商品の価格
  • 商品の送料
  • 代金の支払の時期及び方法
  • 商品の引渡時期
  • 期間限定商品の場合は購入可能な日時を正確に記載する
  • 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項

そして、これらの事項を正確に表示し、購入者に誤解を与えない表示とすることが求められています。

例えば、購入者としては、商品を「1個」だけ購入したつもりなのに、販売者は、「1」は、「1ダース」つまり、「12個」のことだと意図していたとしたらどうでしょう。

購入者は12個も商品が届いてびっくりしてしまいます。

注文したのは「1個」だけ。12個も注文したつもりはない。残り11個分の代金の支払いを拒否したいと思うでしょう。

こうした事態を避けるために、「1」が「1ダース」を意味しているなら、「1ダース12個」というように購入者に誤解を与えないように正確に記載しなさいというルールが定められているわけです。

販売者がこのようなルールを守っていなかった場合、購入者は契約の取り消しができます。

商品が手元に届いてから契約を取り消した場合は、原状回復と言い、購入者は商品を販売者側に戻さなければなりませんが、販売者側も返金に応じなければなりません。

つまり、購入者側は商品代金を取り戻せるわけです。

通信販売で取り消しできるのは1年間

通信販売の返品制度は、商品の引き渡しを受けた日から8日間以内とされています。

それに対して、上記の理由による契約の取り消しは、「追認をすることができる時から1年間」の間であれば行使できます。

「追認をすることができる時」とは、間違いに気づいたときという意味になります。

上記の例で言えば、「1」が「1ダース12個」の意味だったと気づいた時です。その時点から1年間なら契約の取り消しができます。

詐欺的な「定期購入」商法は取消可能

通信販売の取消し制度は、詐欺的な「定期購入」商法へ対処するために導入されました。

例えば、

「定額2,000円のところ、初回お試し価格1,000円」と宣伝されていたとします。

半額になるわけですから、誰もがお得だと思ってポチッとしてしまうでしょう。

でも、最終確認画面をよく読むと、細かい文字で次のように書かれているわけです。

  • 初回お試し価格1,000円でご購入いただくには、1年分の定期購入が条件です。
  • 2回目からは2,000円になります。
  • 初回を含めた12回分のお支払額は、23,000円です。

つまり、初回お試し価格1,000円で買ったつもりが、実際には、12回分の定期購入になっている上、23,000円を一括で支払わなければならないという契約内容になっていたというケースです。

この肝心な部分が小さな文字で書かれていたり、「注文を確定する」ボタンよりも下の方に書かれていると、読み飛ばしてしまう方も少なくないでしょう。

こうしたケースは、「申し込み時の最終確認画面が購入者を誤認させるような表示」になっているため、購入者が間違って購入しても、取り消すことができます。

最近では、このような詐欺的な「定期購入」商法は、「ダークパターン」の「こっそり(Sneaking)」のパターンとしても紹介されています。

まとめ

通信販売はクーリング・オフできません。また、返品不可と明記されていた場合は、返品して代金を返してもらうことができません。

ただ、申し込み時の最終確認画面が購入者を誤認させるような表示になっているケースでは、商品を受け取ってから1年間なら取り消しが可能です。

初回お試し価格のつもりが、定期購入になっていたといったトラブルに巻き込まれた場合は、取り消しを主張できる可能性があるので、早めに専門家に相談してください。

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